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マレーシアの労務に関する質疑応答
2026.4.21
(3)セクハラの訴えがあった時の初動
(質問)
女性社員からセクハラを受けたという訴えが、男性社員からあったのですが、会社としては最初にどのように対応したらよいでしょうか。
(回答)
1.セクハラ関係の法整備の状況
マレーシアでは、雇用法で職場のセクハラに対応する体制を社内に設立すること、反セクハラ法ではセクハラがあった場合にはセクハラ法廷に訴えることができると法律で決まっていますが、会社に対してセクハラが通報された時に具体的にどうするべきかの詳細は規定されていません。2012年にセクハラが雇用法に追加され、2022年に刑罰などが強化される改正が行われ、従業員の間でセクハラに遭った場合には、警察に直行する以外に、会社に訴えるという選択肢が、マレーシアの従業員の間で少しずつですが、広まってきました。今回の訴えはその影響によるものだと思います。
2.本質問の事例の特殊性
本質問は男性が女性からセクハラを受けたという内容ですが、それはマレーシアではかなり特殊な事例で、8割以上のセクハラの事例は女性が男性からセクハラを受けた事例であることが報告されています。男性から、それも上司の女性からではなく、同僚の女性からセクハラを受けたという場合には、男性が訴えているセクハラが本当に職場におけるセクハラかどうかの事実確認をすることが最初に必要になります。
3.初動手続のサンプル
そのために以下のよう聞き取りをそれぞれに対して行うことをお勧めします。
苦情申立者(The complaint)
1. 会社が苦情申立者に伝えること
a. 今回はあくまでも双方からの事情聴取である。会社が事情聴取をした内容を検討し、次のステップについて判断をする。
b. 事情聴取の記録を音声と書面で残す。
c. 記録は会社で人事ファイルとして永久保管する。
d. 記録は経営陣以外には非公開とする。
e. 記録の内容を容疑者への事情聴取の際に事実確認のために使用する。
f. 苦情申立者の氏名を容疑者に公開する。
2. セクハラの事実確認
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No. |
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Time ( to ) |
Place |
Description |
Impact on his work |
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3. 苦情申立者と容疑者の間の人間関係について、容疑者の第一印象、初めての会話、社外での接触、会話などを時系列的に詳細に聞く。
4. 苦情申立者が本件について会社に要求したいことを聞く。
容疑者(The Accused)
1.会社が容疑者に伝えること
a. 苦情申立者から容疑者にセクハラを受けたとの苦情が会社にあった。
b. 今回はあくまでも双方からの事情聴取である。会社が事情聴取をした内容を検討し、次のステップについて判断をする。
c. 事情聴取の記録を音声と書面で取る。
d. 記録は会社で人事ファイルとして永久保管する。
e. 記録は経営陣以外には非公開とする。
f. 苦情申立者のセクハラに関する記録の内容を容疑者に提示し、またCCTVの映像があるものはそれを示し、
(i) それぞれの事例が事実かどうかを確認する。
(ii) 確認後、事実と認めた場合、なぜそのような行為をしたかの理由とそれに至る経緯を聞く。
(iii) 事実と認めなかった場合、1つ1つの事例、あるいは全体として、このような苦情がなされたことに対するコメント、あるいは反論、あるいは容疑者側のストーリー(苦情申立者の第一印象、初めての会話、社外での接触、会話など)を聞く。
g. その他、容疑者が言いたいことがあれば、それを聞く。
4.社内の担当者と役目
聞き取りは、人事部長及び取締役でManaging Directorのようなトップ以外の人、できれば人事担当取締役が担当すべきです。聞き取りをしたメンバーで内容を検討し、その事例が職場でのセクハラに該当するかどうかを判断します。判断の基準は、
(1) 職権によって強制された行為か
(2) 仕事への影響はあったか
です。
そしてManaging Directorに報告し承認を求め、この件を会社がセクハラとして認定するなら、社内のセクハラ手続きに従って、処理をします。この件をセクハラと認定しないなら、その旨を双方の当事者に通達します。苦情申立者の男性が、セクハラが認定されないことに不満で、労働事務所やセクハラ法廷に訴えた場合には、会社として対応する必要があります。その際には、聞き取り書を証拠として提出し、会社の立場を正当化する必要があります。
5.他社の事例
最近の他社の同様の事例では、男性社員が女性社員の恋愛関係になり、職場で肉体的接触を行なうまでになったが、男性の方が女性を厭うようになり、男性が会社の反セクハラ制度を悪用して、女性から逃れるために、セクハラに遭ったと会社に訴えたという事例がありました。上記の聞き取りを行った後、それは明らかにセクハラではなく、ただの恋愛関係のもつれとして判断し、会社は男性社員の訴えを却下しました。
2026.4.16
(2)急遽追加された祝日の扱い
(質問)
マレーシアでは連邦政府や州政府が突然祝日を追加することがあり、事業所の所在地の州の祝日全てを会社の祝日としている会社は、急遽追加された祝日も当然祝日としなければならないことは、弁護士事務所などの解説で理解していますが、弊社のように雇用法で規定される従業員に付与されなければならない最低限の11日のみを会社の祝日としている会社の場合、急遽追加された祝日はどのように扱ったらよいでしょうか?
(回答)
最近、事業所の所在地の州の祝日全てを会社の祝日とする会社が多く、雇用法で規定される祝日付与の最少日数の11日を会社の祝日とする会社があまりないので、インターネット上の弁護士事務所などの解説が全ての祝日を付与する会社の事例のみになっていると思われます。
御社のように所在地の全ての祝日を付与せず、最低限の11日あるいは数日をプラスして会社の祝日としている会社の急遽追加された祝日についての扱いは、雇用法60D(1)(b)に規定されており、会社が決めた祝日の日数に追加しなければならないとされています。
もちろん、急遽追加された祝日を休業にすることができない場合、その日に出勤した従業員には祝日手当を支給しなければなりません。祝日手当とは、通常の勤務時間(8時間など)までの勤務の場合は、日給の2倍、残業は時給の3倍です。
2026.4.15
(1)祝日の代休
(質問への回答の前提)
マレーシアの一般的な労働慣行としては、祝日に出勤した従業員に対する対応は以下のとおりです。
1. 月の基本給がRM4,000以下の従業員、つまり雇用法が適用される従業員には、
通常の勤務時間内、多くの場合8時間以下の労働に対して2日分の日給を支給する、と規定されています。(雇用法60D(3)(a))
また通常の勤務時間を超えた祝日の残業には時給の3倍を支給する、と規定されています。(雇用法60D(3)(aa))
通常はありないことですが、極端な例でいれば、祝日に1時間だけ働いても、2日分の日給が支給されることになります。
企業によっては、勤務時間x時給の3倍を祝日の出勤に対して支払うと就業規則に規定している事例がありますが、それは厳密には雇用法違反となる社内規定です。
2. 月の基本給がRM4,000を超える従業員、つまり雇用法が適用外で残業手当、休日及び祝日出勤手当が適用されない従業員には
なるべく早い機会に、できれば同じ賃金月に代休を与える、とすることが労働慣行として確立しています。それは休日出勤にも適用されます。
このカテゴリーの従業員に代休を与えるという規定は雇用法には書かれていません。また企業の就業規則に規定されていないこともあります。しかし代休付与の規定がないからと言って、祝日に出勤したこのカテゴリーの従業員に代休を与えないのは、労働慣行違反となり、そのような従業員が労働事務所に苦情申し立てをした場合、会社は代休を与えるよう命令されることになります。
(質問)
月の基本給がRM4000以下の従業員で祝日に出勤した本人が祝日手当ではなく、代休を希望した場合、代休を与えることは合法ですか。
(回答)
違法です。祝日手当は日給の2倍ですので、祝日出勤は2日分の労働がなされたと解釈され、それに対して1日の代休では、その従業員は1日分ただ働きをしたこと、つまり1日分の給与が支払われなかったことになるので、それは違法となります。通常そのような代休の希望には応える必要はありませんが、もし従業員がどうしても祝日の代休を取りたいという場合、祝日手当の2日分は規定通り支給し、休みたい1日を無給休暇として認めるという調整は可能です。